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<居住者の支援>
 
プロジェクト・レポート1
K邸大掃除・実測調査大作戦
2001年3月下旬から4月上旬にかけて、当会が支援しているK邸(横浜市磯子区)の大掃除と実測調査が行われました。
このK邸は、「大規模な修繕をしてでも長く住み続けたい」というご希望をお持ちのKさん御夫妻から依頼を受け、当会が支援を行っているお宅です。
 
 

■大掃除篇 報告:平山正義

◎事前調査

 2001年3月24日(土)、午後2時30分に集合し、実測と共に大掃除の段取りを行いました。
 まず、Kさん御夫妻と家中を全て点検して、捨てる物と残す物をリストアップしていきました。Kさんは、1週間前から数回に渡り整理に来て、必要な物は既に保管したそうですが、なにせ、60年の歴史と、様々な思い出のこもった品ばかりです。でも迷っていたら、片付かないので会のコレクションとして、戴く物だけを残し、基本的には全て処分することにしました。
 実際には、運び出す時に立ち会い、チェックしながら捨てることにしました。それにしても、想像よりもあまりに量 が多く、会の力だけでは手に余るので、業者に委託する事にしました。見積りの結果 、33万円でしたが、会員が手伝うとの条件で30万円にまけてもらいました。

◎大掃除当日

 1週間後の3月31日(土)、午前10時より当会のメンバー7人、神奈川総合高校の生徒7人と嘉登先生、関東学院の学生3人、Kさん御夫妻の総勢20人による大掃除が行われました。その他に業者の方が8人と3トントラック3台分。
 今回は、昭和初期の掃除を体験学習する事も兼ねていましたので、掃除機を使わず、はたき・箒・雑巾のみで行いました。はたきを初めて使う生徒さんもいて、戸惑いもあったようですが、皆さん、概ね満足してもらえたようです。なお、この日は、時折雪が混じる雨模様の中(桜の花に雪が降るのは25年ぶりの事だそうで)特に雑巾掛けは大変でした。
 家中の荷物やゴミがなくなり、分厚く積もった埃も払われ、別の空間のように感じられるほどきれいになりました。

 
▲(左)畳を雑巾で一生懸命拭きました(右)箒を使うのもなかなか楽しい!

◎お茶会

 昼食の時もそうでしたが、Kさんにこの建物の歴史や、まつわる話を聞きながら、午後3時のお茶を戴きました。近くの「浜マーケット」で桜餅や柏餅を買い、さらに、会員の島田さんお手製の蒸しパンも実においしかった。
 席上、自己紹介を兼ねて、今日の掃除の感想や、建物についての思いを各人話してもらいました。最近の住宅にない素材や、間取り、高い天井、洋館と和館の取り合いの不思議なおもしろさ、豊かな縁側の空間等々について様々な感じ方と思い入れを述べ、Kさんもこの建物を大切に使い続けていきたいとの思いを一段とつよくされたようでした。
 ちなみに、建築当時の庭の記憶も残っておられ、復元・整備出来たらとの意見も出されました。


▲大掃除のあとはきれいになった部屋でお茶とおやつをいただきながら懇談

◎4月1日の掃除

 4月1日(日)は、神奈川総合高校の嘉登先生と島田さんの友人である松本さんとご主人にも参加いただいて、洋館部分や、昨日残った所と外部まわりの掃除を行いました。そして午前中には完了させました。


■実測調査篇 報告:島田眞弓

◎3月24日(土)午後2時〜5時30分(晴れ)

 午後1時半頃から関東学院大学黒田研究室の学生新旧4年生と会員が集まり、外回りから観測。 K御夫妻も到着し、建物の中へ移動。雨戸を開けながら室内を案内していただく。概要がわかったところで調査の作戦会議。使える時間は今日の残りと明日一日。
 人手は、学生グループでは実測体験ありと初めてという学生コンビを黒田先生に編成していただき8人。会員では実務についている、平山、兼弘、藤田、島田、院生で毎月のように実測している堀内、この3月に無事卒業した石井の6人。
 調査は、その基準になるレベル出しとキープランの平面図作成から始め、次に1・2階の平面 詳細図と東・南・西・北立面図、部分詳細図、縦軸横軸の断面図などを作成する。 他に処分する家具と会に保存しておきたい道具の選別作業もある。
 担当を決めて作業開始。 キープランは打ち合わせに欠かせないので早急に書き上げ、コピーし各担当者に配る。 レベル合わせは、水の入ったホースを引っ張って最寄の柱に目立つビニールテープを張り、マジックで印を付けて行く。レベルが合うとピーピー鳴り、かしましい。が、調査が刻々と積み上がってきていると思えばウグイスのさえずりにも聞こえ…ないか。
 日が暮れて、目盛りも見えずらくなり、今日の作業は終わる。

◎3月25日(日)午前10時〜午後5時(雨)

 あいにくの雨。立面を書くには外に出て書くしかない。雨の中の作業は、難儀である。 傘を肩に乗せあごで抑える。野帳に書き込む体勢で2階を見上げれば、雨が降り注ぐ。 鉛筆ののりも悪い。
 洋館と和館では庇の出が違う。一間洋館という洋・和館が同居することで図らずも庇が日本の暮らしに見合ったものであることを実感する。雨の日には庇の延びている縁側の戸を開け放したままで、半戸外の生活ができてしまうのである。  実測しながら、詳細を解き明かしたくなる部分が目に付く。でも後日の楽しみに取っておこう。浴室の天井、扉の無い脱衣所、急階段、前室なのか女中部屋なのか目的の定かではない部屋。
 70年前の暮らしなのに現代の目で見るとよく解らないことが多い。
 これから更に30年使い続けるには、雨仕舞の解決、そして最上の場が客間に当ててあるのを、日常生活を優先させるように変えるなどの改修も要るであろう。
 調査は平面、立面、断面図を起こすのに必要な段階で一段落とし、図面 化の際必要に応じて再調査とすることにした。

 
▲(左)K邸の洋館(右)洋館の屋根

 
▲(左)奥の間の照明(右)鬼瓦

※レポートの内容は2001年4月現在のものです


●今回の参加者(敬称略)
実測調査:関東学院大学工学部建築学科黒田研究室 黒田泰介・白土裕子・小森くるみ・黒田武士・道本 亮・渡辺剛史・渡辺英明・田村素子・中川祐輔・鈴木真知子
大掃除:県立神奈川総合高等学校 嘉登 隆・木下めぐみ・石川瑞穂・松崎歩実・山岸しのぶ・福田智美・福永朋美・小野寺有
当会会員:斉藤恒樹・島田眞弓・兼弘 彰・堀内寛晃・蒔田圭子・石井文乃・藤田靖子・平山正義 (特別参加:松本昭次郎・松本静枝)
 
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