■活動の目的 |
21世紀の重要な課題のひとつである環境問題に関連して、「100年住宅」は長く住み続けることで無駄
な廃棄物を減らし、森林資源の乱用を避けるという点で注目されています。 |
洋館付き住宅は、大正時代から昭和初期に多く建てられ、すでに70年あまりが経過していますが、材料も良く、しっかり作られていて、しかも修理もキチンとされているので、いまでも住み続けられています。その間取りは、現代のライフスタイルの原型となっているものであり、そこにはこれからの長く住み続けられる住宅づくりのヒントが隠されています。 |
私たちの地元・横浜にも、鶴見区、神奈川区、西区、中区、保土ヶ谷区、磯子区、金沢区などに数多く残っています。しかし、近年、建て替えなどによってその数が毎年減ってきています。 |
「よこはま洋館付き住宅を考える会(Y.Y.J.K)」では、洋館付き住宅に長く住み続けて、私たちの“まちの宝物”として大切にしていくための、市民と専門家による非営利の市民活動(NPO)によって支援を進めています。
また、この活動を通して、できるだけ多くの方と一緒に、私たちのこれからの住まいについて考えてゆきたいと思っています。 |
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■活動の内容 |
「よこはま洋館付き住宅を考える会」では、以下の活動を展開しています。 |
1:学習会・見学会の開催 |
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洋館付き住宅の理解を深めるとともに、保存・活用のための支援の方法を学びます。 |
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2:会報の発行・ホームページの開設 |
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洋館付き住宅に関わるさまざまな情報を提供します。
会報は、年数回の発行で、会員の方にお送りしています。 |
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3:調査・研究の実施 |
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横浜市内各地域の洋館付き住宅の調査・研究を行います。 |
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4:居住者の支援 |
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長く住み続けるための修理の進め方などについて、非営利で専門のスタッフが相談に応じます。
また、不要になった住宅の部材や生活用具などをお預かり保管し、必要な方へ提供します。 |
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5:“昭和の暮らし体験学習プログラム”の開発 |
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小中高校生などを対象に、当時の生活用具などを活用した、質素でも豊かであった暮らし方に学ぶための体験学習の機会を提供します。 |
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6:他都市との交流 |
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洋館付き住宅や歴史的な建物が多く残されている他都市との交流を行います。 |
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定例会のご案内 |
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当会では毎月定例会を開催し、各プロジェクト活動の進捗状況の報告や会全体に関わる議題の話し合いなどを行っています。 |
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日時:毎月第3火曜日 18:30〜20:30 |
場所:神奈川県民活動サポートセンター 10階(ボランティアサロン)フリースペース |
横浜市神奈川区鶴屋町2-24-2
JR・私鉄「横浜駅」西口・きた西口を出て、徒歩およそ5分 |
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■会の体制 |
■顧問 |
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内田青蔵:神奈川大学 工学部建築学科 教授
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黒田泰介:関東学院大学 建築・環境学部 教授
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水沼淑子:関東学院大学 人間環境学部 教授
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吉田鋼市:横浜国立大学 名誉教授
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(五十音順) |
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■運営に関わる会員 |
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代表 |
島田眞弓(横浜市保土ヶ谷区在住/建築家) |
事務局長 |
兼弘 彰(横浜市保土ヶ谷区在住/建築家) |
正会員 |
遠藤靖仁(横浜市戸塚区在住/大工)
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正会員 |
越智英夫(横浜市神奈川区在住/建築家) |
正会員 |
菊池邦子(横浜市中区在住/建築家) |
正会員 |
中川ちあき(横浜市港北区在住/事務員)
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正会員 |
成谷美加(東京都杉並区在住/洋館付き住宅居住者) |
正会員 |
藤田靖子(横浜市鶴見区在住/建築家) |
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■これまでの主な活動(2005年4月現在) |
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■顧問からのメッセージ |
顧問からのメッセージ3
よこはま洋館付き住宅を考える会 顧問
関東学院大学 人間環境学部 教授
水沼淑子
今から数年前、横浜市内の戦前の近代和風建築の調査をしました。その過程で私がとりわけ興味を持ったのは、小規模洋館を併設する和風住宅の存在でした。そのようなある日、よこはま洋館付き住宅を考える会(以下YYJK)の平山正義さんから講演依頼がありました。その活動について話を伺った時に、似たような関心を持ちかつすでに活動をしていらっしゃる方たちの存在に、同志を得たような大変嬉しい思いを抱きました。2000年春のことだったと思います。YYJKとのおつきあいはそれ以来と言うことになります。
ここ数年、湘南の別荘建築などの保存に関わることが多くなってきました。この1年は大磯の旧三井守之助別荘保存のお手伝いをしました。現地保存はかないませんでしたが、取り壊しの1ヶ月前になって部分移築が実現することになりました。そのための解体工事は、現在YYJKが進めているK邸の改修工事を担当しておられる松本高広棟梁に無理を押して来ていただきました。(K邸の現場には本当にご迷惑をおかけしました。ごめんなさい。)解体工事には兼弘彰さんをはじめYYJKの方も手伝いに来てくださり先日無事終了しました。ネットワーク・フットワークの良いYYJKは実に頼りになる存在だと実感した次第です。
ある学生に「うちにいつも送られてくるなんかの会の会報に先生の名前が出てたよ」と言われました。よく聞くとそれはYYJKの会報であり、なんと彼の家は昭和初期の洋館付き住宅だったのです。会報などの情報を通じて彼や彼のご家族は自邸の価値を知り今後末永く大事にしてくれることと思います。価値ある建物でも現在は残すことが本当に難しい時代です。所有者にその重要性を知ってもらうことはとても大事であり、その点でも、YYJKの地道で地域に根付いた活動は大変重要だと思います。
今後ともいろいろとお世話になると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
●会報第14号(2003.11)より
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顧問からのメッセージ2
よこはま洋館付き住宅を考える会 顧問
横浜国立大学大学 名誉教授
吉田鋼市
よこはま洋館付き住宅を考える会の存在を知ったのは兼弘彰氏と通 じてです。このほど横浜市の指定文化財となりました磯子の旧柳下家住宅の修理工事の調査・設計・監理を兼弘氏が担当しておられて、その有能かつ熱心で誠実な態度がたいへん印象的でした。多くのことも教えていただきました。それで、少し後に事務局長の平山正義氏と一緒にこられて、この会への参加を慫慂されたときには、いやとは言えなくなっておりました。洋館付き住宅は、戦前期の中小規模独立住宅の一典型ともいえる重要な存在だと思います。洋風住宅はまず大規模住宅に導入され、洋館と和館とを別
棟にして建てていたわけですが、これが中規模住宅で一棟の中に共存させられ、さらにはもう少し小さな住宅にも応接室だけを洋風にした住宅、つまりは洋館付き住宅となっていったと考えられます。したがって、日本の住宅建築発展史上にも重要な存在だと思います。
だいぶ前になりますが、横浜国大で、横浜のこうした住宅を対象にした修士論文がありました。たいへん優秀な論文でしたが、発表者が洋館が正面
から見て右についているのと、左についているのがあるが、その理由が不明であるとまじめに言った時には、少し笑ってしまいました。ヨーロッパのホテルの階段には右まわりと左まわりがあるが、その理由を熱心に探求した路上観察学者の林氏の話を思い出したからです。しかし、些細な疑問から重要な発見が生まれるかもしれませんから、ほんとうは笑い事ではないのです。洋館付き住宅を一つ一つていねいに調べていく段階で、大事な発見があるかもしれませんし、なによりも先人の知恵が学べるでしょう。
会員のみなさまのご健闘を祈りたいと思います。
●会報第12号(2003.1)より
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顧問からのメッセージ1
よこはま洋館付き住宅を考える会 顧問
関東学院大学 建築・環境学部 教授
黒田泰介
私たち黒田研究室と、よこはま洋館付き住宅を考える会(以下、考える会)とのおつきあいは、会報(第8号)のカットにも使われているK邸の実測調査(2001年3月)に始まります。
ある日、考える会の中心メンバーの一人である兼弘彰氏から連絡をいただき、「素敵な歴史的建物があるのだが、実測調査に参加しませんか」と誘われたのが、そのきっかけでした。彼は大学の後輩で、学生時代には前野まさる芸大名誉教授の指導の元、一緒に岡山の歴史的町並みを調査した、気心の知れた仲です。
早速、ゼミ生の中から希望者数名を募り、現地に赴きました。考える会の皆さんと一緒にK邸の各種現状図面 や模型を制作したのですが、素晴らしい意匠を残すK邸の風格に学生共々感激しながら、夢中であちこち計ったのを覚えています。以来、平山正義氏を始めとする考える会の方々の暖かいお人柄と、洋館付き住宅に対する愛情に感化されて、見学会などにも参加させていただきつつ、今日に至っています。
市内各所に残る洋館付き住宅は、目立つ建築ではないにせよ、モダン都市横浜の華やかだった一時代を体現している貴重な存在です。魅力ある町並みとは、様々な時代の要素が渾然一体となって深みを増すものであり、洋館付き住宅はそこに欠かせない大切なスパイスなのです。残念ながらこうした建物がどんどん残り少なくなり、新建材の味気ない町並みが広がっていく今日、各地の見学会や建物の再生支援を精力的に行っている考える会の活動は、横浜のアイデンティティを守るためにも非常に重要なものです。
横浜の一大学にある私の研究室も、都市と建築の豊かな関係に興味をもつ学生達と共に、考える会の活動を全力でバックアップしていきたいと思っています。
●会報第11号(2002.8)より

▲会報のカットにも使われているK邸の立面図
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